オフラインでの移動について書かれたものは、たいてい肝心なところを飛ばします。ソウルは あなたをオフラインにしないために、相当な額を使っている、という点です。
市は까치온(カチオン)という無料の公共Wi-Fiを、約24,060か所から流しています。 利用は1日あたり128万人以上。会員登録なし、本人確認なし、料金なし。1時間前に着いた 旅行者も、30年住んでいる人とまったく同じ条件で使えます。
接続は単語ひとつ
ネットワーク名SEOUL_Secureを選びます。ユーザー名にSeoul、パスワードにもSeoul。
手順はこれだけで、しかも1回きりです。最初につないでしまえば、あとは電波が届く場所で 勝手につながります。
バスの中、誰も試さないところ
カバー範囲の一覧は、想像どおりの場所から始まります。主要道路、公園と遊歩道、バス停、 伝統市場、観光地、公共施設。
そのあとにバスそのものが入っています。市内バスも、小回りの利くマウルバスも。ソウルの バスは動くホットスポットで、移動のなかでいちばん読めない時間が、いちばん調べものが できる時間に変わります。午後ずっと不機嫌だった端末が生き返るのは、たいていバスの中です。
設置場所はソウル市がスマートソウルマップで公開しています。信用する前に形を見たければ、 そちらへ。
切れる場所
これは市のネットワークです。ソウルのもので、ソウルが終わるところで終わります。
ほかの都市はそれぞれの予算と基準で別々にやっているので、境界の向こうへ前提を持ち越さない でください。そして谷を見下ろす尾根の上や、1日1便のフェリーしかない島では、どのネット ワークにつなぐかという問いが成立しません。ないからです。
だからこれは、Wi-Fi頼みではなくデータ契約の話になります。データ専用eSIMは1週間ぶんでも たいした額になりませんし、 回線の比較ページに、それぞれ何ができて何ができないかを まとめてあります。
当てにしろとは書かないこと
韓国の地図アプリでオフライン地図をダウンロードする手順は、自信たっぷりの説明がいくらでも 見つかります。
確認が取れませんでした。ネイバーもカカオも挙動を明確に文書化しておらず、説明どうしが 食い違っています。そして迷ったときにいちばん欲しい部分、つまりバスの到着案内と、道を 間違えたときの再探索は、何がキャッシュされていようと電波を必要とします。文書化されて いない機能を安全網だと思って歩くと、その場から動けなくなります。
だから、電波がまったくない場所へ行くつもりで支度して、Wi-Fiが出てきたら儲けものと 考えてください。
オフラインの備えは、ほぼスクリーンショット
宿を出る前に、ルートは「読み込むもの」ではなく「画像」にしておきます。スクリーン ショットは電波が死んでも、アプリが落ちても、SIMが合わなくても生き残ります。
行き先はハングルのまま保存してください。ローマ字ではなく。誰かに、あるいは運転手に 見せる場面で、韓国語の文字はそのまま通じますが、ラテン文字の表記は相手に頭のなかで 戻す作業をさせます。理由と読み方は住所のページにあります。
出口番号を控えておいてください。この国でいちばん圧縮された道案内です。数字ひとつで、 正しい交差点の正しい角に立てます。電波を失う前にメモするのに、手間はかかりません。 並び方は出口のページに書きました。
そして終電の時刻を。深夜に電池が切れるのは不便ですが、深夜に電車がなくなるのは、 市内を横断するタクシー代です。
カチオンの数値は、ソウル特別市が公開しているサービス説明を2026年9月14日に確認したもの です。設置約24,060か所、1日128万人以上の利用、ネットワーク名SEOUL_Secure、ユーザー名と パスワードがいずれもSeoul、接続は1回だけでよいこと、そして市内バスとマウルバスを含む カバー範囲の一覧。設置場所の確認先としてスマートソウルマップも同じページが案内しています。 韓国の地図アプリのオフライン対応についてここで断定していないのは、出回っている説明が どちらの会社の文書にも裏づけられていないからです。確認できなかったことで埋めるより、 空けておくほうを選びました。