空港の3つのカウンターが、ほとんど同じ約束を3通りの形で売っています。そして そのどれも韓国の銀行アプリを開けてはくれません。ただしそのうちひとつは、 テキストの認証コードを受け取れる韓国の番号をくれます。これは思うより小さく、 そして思うより役に立つものです。
カウンターの前で「どれを買えば韓国のサイトが使えるようになるのか」を 探しているなら、その答えはここにはありません。それは売り物ではないからです。
同じ「認証」という言葉で、中身は二つ
韓国のサービスは別々の検査を二つ走らせていて、日本語ではどちらも認証と呼ばれます。
ひとつめはコードです。サイトが番号宛てに数桁の数字を送り、それを入力し返します。 韓国のSMSを受信できる番号であれば何でもかまいません。
ふたつめが본인인증(ポニンインジュン、本人確認)です。ここでサイトは韓国の キャリアにこう尋ねます。この番号は、名前の登録された本人のものか。その答えは、 韓国人なら주민등록번호(チュミンドゥンノクボノ、住民登録番号)、居住カードを 持って暮らす外国人なら외국인등록번호(ウェグギンドゥンノクボノ、外国人登録番号)に 紐づいていて初めて成立します。
パスポートはそのどちらでもありません。だから旅行者の回線は、完全に正常な韓国の 番号を持っていても、銀行に問い合わされた瞬間に空の答えを返します。
ローミング
自分の番号と自分のキャリアのままです。韓国に来てもそこは変わらず、他国で登録された 番号について韓国のサイトが問い合わせる先もありません。
これは思われているほど不利ではありません。旅行者が実際に使いたいアプリの多くは、 そもそも海外の番号にSMSを送って登録できるものだからです。高くつくこと、そして 着いた瞬間に何もしなくても使えることが、ローミングの特徴です。
データ専用eSIM
旅行者に最もよく売られていて、最も誤解されている商品です。買えるのは通信です。 端末の設定のどこかに番号らしきものは表示されますが、それは誰かがあなたに メッセージを送れる番号ではありません。
キャリアもそこははっきり書いています。LG U+は旅行者向けページに一行、データ専用の サービスではSMS認証は利用できない、と記しています。届かないのだから入力するものも ありません。
一週間、地図と翻訳とインターネット越しのメッセージとチケットサイトを使うだけなら、 これで十分足ります。ほとんどの旅行者はその端にも触れません。
010番号が付く旅行者用の回線
きちんと理解しておく価値があるのはこれです。キャリアの説明が珍しく具体的だからです。
LG U+は通話・SMS付き商品をこう説明します。飲食店やタクシーの予約アプリのSMS認証は 利用できるが、銀行や行政サービスの本人確認には対応していない。KTは、旅行者用eSIMは 着信は正常に使えるものの、Naverの認証やオンラインバンキングのような用途には 使えないと案内しています。SKTは自社の旅行者用eSIMでは本人認証サービスが 利用できないとしています。
3社が同じ内容を3通りの言い方で書いています。韓国の010番号は手に入ります。韓国の 店や会社から電話もSMSも届きます。正式な本人確認だけが閉じたままです。
追加料金の価値はその中間の帯にあります。予約確認を入れてくる飲食店、いまどこかと 聞いてくるゲストハウス、玄関が見つからないドライバー。どれも韓国の電話から かけられる番号を必要としていて、どれも旅先の日常的な摩擦です。
見落とされがちな点をひとつ。これらのプランでは着信の通話とSMSは無料で、発信だけが 1通ごと・1分ごとの課金です。コードを受け取るために通話分を買う必要はありません。 LG U+のツアー向け商品では通話オプションを0分・0ウォンにでき、それでも番号は着信を 受けられます。
空港でするパスポート確認は、期待しているほうの確認ではない
旅行者用eSIMを買うと、通話とSMSを使う前に本人確認を済ませるよう案内されます。KTは 空港のローミングセンターでこれを行います。WOWPASSも自社eSIMについてほぼ同じ言葉を 使っています。本人確認をしないと通話とSMSは利用できずデータのみ、韓国で本人確認を 済ませると通話とSMSを受けられるようになる、と。
この手続きは、回線が匿名にならないようにキャリアがパスポートの人物と契約者の一致を 確かめるものです。あとで韓国のサイトがあなたを認識するかどうかとは関係がありません。 同じ言葉で、仕事が違います。高いほうのSIMを買ったのに銀行アプリに拒まれる理由は、 たいていこれです。
それでも必ず済ませてください。しかも空港を出る前に。終わるまで、買った番号は何も 受け取れません。
パスポート1冊につき1回線
韓国は回線の開通手続きを継続的に厳しくしています。他人名義の回線が電話詐欺の 材料になるからです。
2026年7月6日から、新規加入と番号移行には身分証と照合する顔認証が必要になりました。 大手3社と格安事業者すべてで段階的に導入されています。この第一段階は韓国の住民登録証と 運転免許証を前提に作られていて、認証が通らない場合の代替手段は行政のモバイル身分証か 当日発行の住民登録抄本です。外国の身分証は別の流れで、政府は法務部と連携して真偽確認の 仕組みを整えるとしており、完了時期は公表されていません。
旅行者に届くのはもっと単純な部分です。外国のパスポートで開通できる回線数が2回線から 1回線に減り、政府はこの1人1回線の原則をより厳しく運用するとしています。追加の回線は 必要性が認められる場合だけです。自分の端末用に1枚、モバイルルーターや同行者用に もう1枚、という計画なら立て直してください。
WOWPASSの位置づけ
答えている問いが違います。WOWPASSは外貨の現金や海外のカードを韓国で使えるお金に 変えるプリペイド決済カードで、その一点だけで持つ価値があります。SKTの回線を使った eSIMも売っていますが、そのeSIMはここで説明したものとまったく同じ挙動です。
どちらの側面も、誰かに対してあなたを証明してはくれません。カードについては 別のページで、開かない扉も含めて扱っています。
選び方
旅程が短く、誰からも電話が来ないならデータ専用。電話のかかる予約があるなら、あるいは 店から連絡が取れないことを店先で知るより連絡が取れるほうがいいなら、通話付きの 旅行者用回線。着くのが遅く発つのが早い、手間より料金で解決したいならローミング。
そしてどれを選んでも、多くの人が本当に買おうとしていたものは変わりません。そちらは アプリごとの現状のページで解決する話で、 そこでの良い知らせは、韓国の番号を一切持たないまま状況が着実に良くなってきている、 ということです。
キャリアの表現はlguplus.comのLG U+英語版・旅行者向けSIMページを2026年9月12日に確認した もので、KTとSKTの旅行者向け商品の同等の記載も同日に確認しています。WOWPASSの表現は 同社eSIMのFAQによります。開通時の顔認証が2026年7月6日に始まったこと、段階的な導入で あること、代替手段については、2026年6月30日に政府の政策ポータルで公開された 科学技術情報通信部のブリーフィングと、施行時の報道によります。パスポートでの開通が 2回線から1回線に減ったこと、1人1回線の原則を厳格化することも同じブリーフィングからです。 料金とプラン構成は頻繁に変わるので、支払う前にキャリア自身のページで金額を確認してください。